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■靴を作るには?
オーナー : 「もうそろそろこのデザインの大きいサイズを作ってください」
メーカー : 「イヤー大変なんですよ。製造の方に交渉しているのですが、何せ製造足数 のハードルが高くて」
オーナー : 「足数ってどのくらい作ればいいの?」
メーカー : 「最低でも1サイズ50足から60足注文いただければ製造可能とのことです」
オーナー : 「値段は?」
メーカー : 「大体10%から20%増しくらいだそうです」
オーナー : 「ウゥ・・ン・・・」
この様に日本の靴メーカーに大きな靴を作らせようとしますと値段はともかく、製造足数 との戦いになります。このサイズの分野はそんなにひとつのデザインが数多く売れること は無いのです。よく売れる靴で、せいぜい全国で月間2足から10足くらいしか売れません 。
では、ひとつのモデルを作るのにどのくらいのコストがかかるのかと云いますと、メーカー にもよりますが、約1サイズ5万円〜10万円くらい。これを一足当りの単価にすると1000 円〜2000円くらい高くなります。
材料はというと、25.5cmの靴より、約1.2倍〜1.8倍の材料を使用するのです。
■あるメーカーとの話
皆さんよく知っているスーパーや食品工場などで使用している白いゴム長(衛星ゴム長)。 このゴム長の30cm、31cm、32cmのサイズを作ろうと、日本の一流メーカーに見積もりを お願いしたところ、なんと800万円〜900万円!これは、日本の設備の問題で日本の設備 には最大29cmまでの靴しか作れません。設備を更新する費用が約1千万円〜1千2百万 円かかるそうです。
新しい設備を作る時の設計段階から計画すればほとんど費用が発生しないそうですが・・ ・。
■ある京都の芸子さんの話
ご贔屓さんが若い方を伴って来た時、靴を見ることでこの若い人の将来が分かると云って いるのを聞いたことがあります。粗末でも手入れが良く行き届いた靴を履いている人は必 ず出世し、ご贔屓さんになるそうです。
■ある老舗料亭での話
昔?料亭では、玄関で靴を脱ぐ時、下足番に靴を預け座敷に上がります。この下足番の 人は、その料亭で長年勤めたベテランの人でなければ勤まりません。お客様の名前、役 職 などを覚えていなければならないからです。酔ったお客様が靴(昔は草履)を間違わ ないようにする為の知恵だったのかもしれません。一説には、無銭飲食防止の為、履物を 預かったという話や、お客の品定めの為に履物を点検したという話があります。履物は、 一番お金がかけられない品物。着るものや小物は人から借りても身につける事ができま すが、履きものは人から借りにくい服飾品。傷んだ靴を履いている人は、最近あまりお金 の回りが良くない人、安い粗末な靴を履いている人は、事業があまり上手く行っていない 人というように、顧客リストの分類を下足番の人が行っていたようです。
■お国の違い
ある日、私がこの商売を始めた頃のこと。当店に外国の方が靴を買いにいらっしゃいまし た。
「レザーソールの靴を見せてください 」
私は、皮底の商品を何点かお見せしたところ、「NO!こんな高い靴は要らない。もっと安 い靴を見せてくれ。」と。
日本では皮底の靴は高級な靴の代名詞、そんなに安い靴はありません。その趣旨をお客 様に伝えると「私の国では皮底の靴はもっと安い、この靴屋は高く売っている」と怒って帰 られました。私は何で怒って帰られたのか始めのうちは分かりませんでしたが、よく考えて みると日本と海外の国とでは食文化が違うことに気が付きました。米が主食の日本にとっ て、米を取った後の藁は大変安く入手できます。それに対し、肉を主食にしている国では、 皮は食の副産物で、これらの国にとっては合成ゴムの素材は高額になり、皮の方が手に入りやすいのです。お国が違えば物の価値が違う、改めて感じさせられました。ただ最近 、狂牛病や健康志向のせいで皮がかなり不足しているようで、値段が高くなってしまった とのこと・・・
■お国の違いといえば
日本ではサンダルは安いもので、スーパーやディスカウントショップへ行けば、300円を切る物もあり、高いものでも2000円位です。でも海外は違います 日本のサンダルは下駄や草履などから発展した簡易商品。でも、海外では靴から発達した商品。靴の先に穴を開け、踵に穴を開けた物。あくまでも
靴の一部で靴そのものですから、価格は靴の金額が基準になってしまうのです。ちなみに、日本では下駄の金額となっているようです。
■お国の違いといえば
日本の方が靴を買うときにかける時間は、デザインを選ぶのに80%くらい、靴の履き心地を選ぶのに20%くらい。靴を試すとき、ほとんどの方が片方だけ履いて「これで良いです。 これをください。」と。
海外の方、特に欧米の方は違います。デザイン選びに約40%、履き心地を選ぶのに約60%の時間をかけます。必ず両足を履いてフィットするかを確かめてから「これをください」となります。
さらに、北欧の国(ドイツ・デンマーク)などの方ですと、靴のフィット感を確かめる為に約1時間〜2時間、時間を掛けてお選びになるのです。
少し前、テレビでアクション物の洋画を見ている時の主役の女性と、相棒役の二人の会話
男性 : 「男を選ぶ時、何を基準に?」
女性 : 「私は靴ね」 「汚い靴を履いている奴は最低」 「ピカピカの靴を履いている奴はキザでイカシタ奴」 「いい靴を履いている奴は、仕事の出来 る素敵な人」という会話が耳に入ってきました。
靴はファッションの最終工程。靴のセンスがあなたのセンスを全て決めてしまうかもしれません。
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